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VITURE One——「120インチの映画館」は本当か。XRグラスの理想と現実を検証する

Alex Ishiguro 読了目安:9分
VITURE One——「120インチの映画館」は本当か。XRグラスの理想と現実を検証する
目次
  1. 1プロダクト概要
  2. 2クリエイター・プロフィール
  3. 3市場背景
  4. 4気になるポイント
  5. 5応援したいポイント
  6. 6比較・代替案
  7. 7まとめ

欧米クラウドファンディングで4億円超(メーカー公称)を集め、2023年夏にMakuakeへ上陸したXRグラス「VITURE One」。支援総額は1億8,600万円を突破し、AR/VR/MRカテゴリーで歴代1位を記録した〔メーカー公称——PR Times記載、Makuake公式の独立開示なし〕。シリコンバレー発の新興ブランドが掲げた「高画質×高音質のプライベートシアター」という看板は、日本の消費者にとってどこまで信じられるのか。

78gという卵1個分の軽さ、HARMANとの共同開発スピーカー、Nintendo SwitchやPS5への対応——スペックシートだけ見れば魅力的だ。しかし「120インチ相当の大画面」という表現と、実際に覗き込んだときの体験には、埋めがたい落差があるかもしれない。リサーチで集めた事実とユーザーの生の声をもとに、この製品の実力を丁寧に検証する。

プロダクト概要

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VITURE Oneは、スマートフォンやPC、Nintendo Switch、PS5などにUSB-C接続するだけで使えるXRグラス型ディスプレイだ。頭にかぶるVRゴーグルとは異なり、サングラスに近い形状で映像を視聴できる。

ディスプレイは有機ELパネルを採用し、解像度はフルHD(1920×1080)、最大輝度1,800nits、リフレッシュレート60fps〔メーカー公称——VITURE公式〕。輝度1,800nitsは直射日光下でも映像が潰れにくい水準で、屋外利用を想定した設計といえる。PPD(角度あたりの画素密度)55という数値は、映像の精細さを示す指標として高い部類に入る〔メーカー公称——VITURE公式、独立測定データなし〕。視野角は43度で、メーカーは「3m先に120インチ相当」と表現している〔メーカー公称——VITURE公式、視聴距離・環境条件の独立検証なし〕。

本体重量は約78g。バッテリーとプロセッサーをグラス本体から排除し、外部デバイス(モバイルドックまたはネックバンド)に移行したことで軽量化を実現した。モバイルドックは13,000mAhバッテリーを内蔵し、Nintendo Switchの駆動時間を最大約6時間に延長する〔メーカー公称——VITURE公式、実測値は使用条件により異なる〕。

3D映像はサイドバイサイド方式(1920×1080の左右分割、合計3840×1080p)に対応〔メーカー公称——独立検証なし〕。別売のネックバンド(Android OS搭載)を使えば、PS5やXboxのリモートプレイ、クラウドゲーミングにも対応する。ネックバンドとグラス間の遅延は10msと謳われている〔メーカー公称——VITURE公式、独立測定なし〕。

Makuakeでの早割価格は5万8,880円、通常想定小売価格は7万4,880円。2023年11月22日に一般販売が開始された。

クリエイター・プロフィール

VITURE Inc.は2021年8月、米国シリコンバレーで創業された〔メーカー公称——公式サイト記載〕。Google・Apple出身者が設立メンバーに名を連ねる〔メーカー公称——公式サイトの自社プロフィール記載、第三者による人物確認なし〕。日本市場の販売・サポートは、東京都港区に拠点を置く日本法人VITURE JP Inc.が担当する。

製品デザインはGoogle、Nikeの製品設計を手掛けた英国のデザイン会社LAYERとの共同設計〔メーカー公称——独立検証なし〕。音響はSamsung傘下のオーディオブランドHARMANとの共同開発〔メーカー公称——共同開発契約の詳細・音響測定データの独立検証なし〕。

2025年12月時点で事業継続が確認されており、新製品「VITURE Beast」のプロモーションをX(旧Twitter)公式アカウントで展開している。倒産・事業撤退・代表交代・サポート終了の報告は、国内メディア・プレスリリースいずれにも確認できていない〔未確認——該当報道が存在しないことをもって問題なしとするには独立検証が必要〕。

クラウドファンディング経験は豊富で、欧米での先行販売(Kickstarter/Indiegogo)で4億円超を調達した実績がある〔メーカー公称——PR Times記載〕。日本のMakuakeでは支援総額1億8,600万円超を記録したが、支援者数・達成率の具体的数値は一次ソースが見つかっていない〔未確認——複数検索したが支援者数を明記した一次ソースを発見できず〕。

市場背景

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出典:futurecdn.net

XRグラス市場は2023年から急速に活況を呈している。Meta Quest、Apple Vision Proといったヘッドマウントディスプレイが話題を集める一方、「もっと気軽に使いたい」という層に向けたサングラス型デバイスが新たなカテゴリーとして確立されつつある。XREAL(旧Nreal)、Rokid、TCL RayNeoといった中国系メーカーが先行し、3〜7万円台で競争が激化している。

VITUREがMakuakeを選んだ理由は明快だ。日本市場ではXRグラスの認知度がまだ低く、量販店でいきなり棚を取るのは難しい。クラウドファンディングなら初期ユーザーを囲い込みつつ、メディア露出も稼げる。実際、ファミ通やGame Watch、AV Watchなど主要テック媒体が取り上げ、認知拡大には成功した。

ただし、この市場には構造的な課題がある。「120インチ相当」「映画館体験」といったマーケティング表現と、実際の体験にギャップがあると感じるユーザーが少なくない。視野角40〜50度台のデバイスでは、視界全体を覆うわけではなく、空間に小さなスクリーンが浮かんでいるような見え方になる。「期待値と体験値の差」が、XRグラス市場全体の課題として横たわっている。

気になるポイント

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出典:ismcdn.jp

「120インチの大画面」は体感と一致するか。メーカーは「3m先に120インチ相当」と説明するが、視野角43度のディスプレイが生む映像体験は、リビングの大型テレビとは根本的に異なる。Xユーザーの KJ新谷氏は、XREAL OneとVITURE Proを約1ヶ月ずつ使用した上で「大画面ではなく『小さいモニターが浮いている感じ』——実体験として期待値と異なる」と投稿している(X、2025年2月頃)。「120インチ」という数字だけで映画館を想像すると、落差を感じる可能性が高い。

ノーズパッドの調整を甘く見ると映像が破綻する。個人ブログ「勇者ブログ」のレビュアーは、7万4,880円で購入した上で「ノーズパッドの調整が重要で、合わせないと映像が二重に見える」と報告している〔未確認——掲載日を月単位で特定できず〕。軽さゆえにフィッティングがシビアで、鼻の形状によっては最適なポジションを見つけるまで試行錯誤が必要になる。

長時間使用で蓄積する目の疲れ。noteの実体験レビューでは「長時間使うと目が疲れる。外の音が聞こえにくいのが難点。120インチの大画面は疲れるので映像サイズを自由に変えられると良い」という指摘がある〔未確認——投稿者名・掲載日を特定できず〕。没入モードでは外界の視覚情報が遮断されるため、眼精疲労だけでなく周囲の状況把握にも影響する。

接続互換性と専用ケーブルのコスト。機種によっては接続できない事例が複数のユーザーレビューで報告されている。さらに専用ケーブルはVITURE STOREで8,180円と高額で、紛失時のコスト懸念が指摘されている。USB-C対応を謳いながらも、実際にはすべてのUSB-C端末で動作するわけではない点は、購入前に端末対応表の確認が必須だ。

「AI搭載」の実態が不透明。ネックバンドには「Hey, Vizard!」と呼びかけるAI音声アシスタント機能があるとされるが、採用モデル・推論エンジン・動作仕様の技術的開示は一切ない〔メーカー公称——VITURE公式、独立技術検証なし〕。「AI」という言葉の定義が曖昧なまま訴求されている。

応援したいポイント

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78gの軽さは正義。バッテリーとプロセッサーを外部に逃がすという設計判断は、装着感に直結する英断だ。noteのレビュアーも「軽くて装着感がよい。Switchやスマホに繋げるだけで映画館のような迫力。特に寝ながらのNetflix視聴は最高」と評している〔未確認——投稿者名・掲載日を特定できず〕。VRゴーグルの重さと蒸れに辟易していた層にとって、サングラス型という選択肢は明確な価値がある。

移動時間の体験を変える実用性。はてなブログのJelylle+氏は「移動時間の映画鑑賞に最適で、機内で映画を観ていたら没入して気がつけば着陸していた」と書いている(2024年5月15日)。新幹線や飛行機での長時間移動が多い人にとって、周囲を気にせず映像に集中できる環境は実用的な価値が高い。

ゲーム機との親和性が高い設計。Nintendo SwitchやSteam Deckとの接続に対応し、モバイルドックの13,000mAhバッテリーがゲーム機の駆動時間を延長する。ゲーム機を外で大画面で遊びたいという明確なニーズに対して、ハードウェアレベルで回答を用意している点は評価できる。

想定外の用途を生むデザイン。サイクルガジェットのレビュアーは「ローラートレーニング(屋内自転車)に使用。VRゴーグルは見た目がアレだが、VITURE Oneはターミネーターのようでカッコいい」と報告している〔未確認——掲載日を月単位で特定できず〕。サングラス型のデザインが、フィットネスや作業中のながら視聴といった、メーカーが想定していなかった使い方を自然に許容している。

比較・代替案

VITURE Oneの購入を検討するなら、競合製品との比較は避けて通れない。

XREAL Air 2。XRグラス市場で最も知名度が高い製品の一つ。重量約72g〔メーカー公称〕、ソニー製マイクロOLEDパネルを採用〔メーカー公称〕し、2025年7月時点で3万9,980円まで値下げされている〔確認済——XREAL公式、2025年7月。現在価格は変動の可能性あり〕。VITURE Oneの約半額で手に入る価格差は大きい。ただしネックバンドのようなAndroid搭載外部デバイスは用意されておらず、リモートプレイ対応はスマートフォン側に依存する。

XREAL One。2025年発売のXREAL新モデルで、自社開発SoC「X1」を搭載〔メーカー公称——XREAL公式〕。グラス単体での映像処理能力が向上しており、外部デバイスへの依存度が低い設計思想はVITUREとは対照的だ。価格帯はVITURE Oneと同等クラスだが、独自チップによる将来のソフトウェア拡張性に期待が持てる。

Rokid Max。ひかりTVショッピング楽天市場店で購入可能なARグラス。VITURE OneやXREALと同じサングラス型で、価格帯は中間に位置する。選択肢として検討に値するが、日本語での情報量はXREALやVITUREに比べて少ない。楽天市場での購入なら、楽天カード利用によるポイント還元も活用できる。

いずれの製品も「サングラス型で映像を見る」という基本体験は共通しており、視野角40〜50度台という物理的制約も同様だ。「120インチ相当」という表現に対する期待値のギャップは、VITURE Oneに限らずカテゴリー全体の課題である点は押さえておきたい。

まとめ

VITURE Oneは、78gの軽さとゲーム機対応という明確な強みを持つXRグラスだ。移動中の映像視聴やゲームプレイには実用的な価値があり、サングラス型デザインの恩恵で「着けていて恥ずかしくない」という心理的ハードルの低さも見逃せない。一方、「120インチの映画館体験」というマーケティング表現と実際の体感にはギャップがあり、長時間使用時の眼精疲労、接続互換性の問題、専用ケーブルの高額さなど、購入前に知っておくべき現実もある。2023年のMakuakeから2年以上が経過し、競合製品の価格下落と性能向上が進む中、現時点での立ち位置は「先駆者だが唯一の選択肢ではない」というのが率直な評価だ。

いま中古で検討している人へ。中古市場ではグラス単体が3〜4万円台で流通しているが、ネックバンドやモバイルドック抜きでは機能が限定される。付属品の有無と状態を必ず確認すること。また専用ケーブルの紛失リスクも考慮し、ケーブル単品8,180円の追加コストを想定に入れておくべきだ。度付きインサートレンズが必要な場合は納期が通常より長い点にも注意したい。

これからVITURE Oneを買いたい人へ。まず自分の主な用途を明確にすること。Nintendo Switchやスマホでの映像視聴が目的なら、XREAL Air 2が約半額で手に入る現状も踏まえて比較検討を推奨する。PS5リモートプレイやクラウドゲーミングを重視するならネックバンドセットが前提になるが、総額は10万円を超える。購入前に公式の端末対応表で自分のデバイスが動作対象かを必ず確認し、可能であれば家電量販店の展示機で「120インチ相当」の体感を自分の目で確かめてから判断してほしい。

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Alex Ishiguro

編集長

MakuakeやCAMPFIREで話題になった商品の「その後」を追うメディアを運営。約束されたものが実際に届いたのか、消えてしまったのかを記録する。

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